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娓々
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びび
ふりがな文庫
“
娓々
(
びび
)” の例文
談ずる処は多くは実務に縁の遠い無用の空想であって、シカモ発言したら
娓々
(
びび
)
として尽きないから
対手
(
あいて
)
になっていたら際限がない。
三十年前の島田沼南
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
僕達のイギリス文学科の先生は、
故
(
こ
)
ロオレンス先生なり、先生は
一日
(
いちじつ
)
僕を路上に
捉
(
とら
)
へ、
娓々
(
びび
)
数千言を述べられてやまず。
その頃の赤門生活
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
娓々
(
びび
)
数千言と云うとむやみに能弁にしゃべるように聞こえてわるいが、時間から云えば、こんな形容詞でも使わなくってはならなくなるくらい論じていた。
長谷川君と余
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
娓々
(
びび
)
、切々たる、哀調は、かすかに弾きすまされた爪びきの
絃
(
いと
)
の音にからみ合いながら、人々の心を、はかない、やる瀬ない境に引き込んでゆくのであった。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
千百の言葉は一団の飯にも及ばず、
娓々
(
びび
)
の
言
(
げん
)
は
滴々
(
てきてき
)
の
水
(
みづ
)
にも
如
(
し
)
かぬ場合である。けれども今の自分の此の言葉は言葉とのみではない。直ちに是自分の心である。
日本大地震
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
▼ もっと見る
... 人ト談論スルニ経史ニ非ザレバ言ハズ。最忠孝節義ノ事ヲ喜ブ。
娓々
(
びび
)
トシテ聴クベシ。」と。また曰く、「平素他ノ
嗜好
(
しこう
)
ナシ。終日盃ヲ手ニシ、詩集ヲ
繙
(
ひもと
)
ク。
尚古人
(
しょうこじん
)
ヲ友トス。 ...
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
夜の静なるを動かして、かの
男女
(
なんによ
)
の
細語
(
ひそめき
)
は
洩
(
も
)
れ
来
(
き
)
ぬ。
甚
(
はなは
)
だ
幺微
(
かすか
)
なれば聞知るべくもあらねど、
娓々
(
びび
)
として絶えず枕に打響きては、なかなか大いなる声にも増して
耳煩
(
みみわづら
)
はしかり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
果せるかな家内のものは皆新宅へ荷物を方付に行って
伽藍堂
(
がらんどう
)
の
中
(
うち
)
に残るは我輩とペンばかりである。彼は立板に水を流すが如く
娓々
(
びび
)
十五分間ばかりノベツに何かいっているが毫もわからない。
漱石氏と私
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
玉蕉女史は、
娓々
(
びび
)
として次の如く物語を加えました
大菩薩峠:34 白雲の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
次郎は、老婆の
娓々
(
びび
)
として説くことばをさえぎるように、黙って、いらだたしく何度もうなずいた。が、
猪熊
(
いのくま
)
のばばは、容易に口を閉ざしそうなけしきもない。
偸盗
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
果せるかな家内のものは皆新宅へ荷物を
片付
(
かたづけ
)
に行って
伽藍堂
(
がらんどう
)
の中に残るは我輩とペンばかりである。彼は立板に水を流すがごとく
娓々
(
びび
)
十五分間ばかりノベツに何か云っているが
毫
(
ごう
)
もわからない。
倫敦消息
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
自分たちの
間
(
あひだ
)
には、正月の
膳
(
ぜん
)
が並んでゐた。Hはちよいと顔をしかめながら、
屠蘇
(
とそ
)
の
盃
(
さかづき
)
へ口をあてて、それから吸物の
椀
(
わん
)
を持つた儘、
娓々
(
びび
)
としてその下足札の因縁を辯じ出した。——
東京小品
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
天下の興廃は叡山
一刹
(
いっさつ
)
の指揮によって、
夜来
(
やらい
)
、
日来
(
にちらい
)
に面目を新たにするものじゃと思い
籠
(
こ
)
めたように、
娓々
(
びび
)
として叡山を説く。説くは
固
(
もと
)
より青年に対する親切から出る。ただ青年は少々迷惑である。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
王石谷は今度は茶も
啜
(
すす
)
らずに、
娓々
(
びび
)
と話を続けだした。
秋山図
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
娓
部首:⼥
10画
々
3画
“娓”で始まる語句
娓
娓娓