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奸物
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かんぶつ
ふりがな文庫
“
奸物
(
かんぶつ
)” の例文
私が渡辺七兵衛らと共に、綱宗さま側近の
奸物
(
かんぶつ
)
を斬って御
詮議
(
せんぎ
)
にかけられましたとき、御屋形さまお一人が私どもを
庇護
(
ひご
)
されました。
樅ノ木は残った:04 第四部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
それで少しは心が慰さもうかと思ったのだ。世間では伊勢殿が悪いという。
成程
(
なるほど
)
あの男は
奸物
(
かんぶつ
)
だ、淫乱だ、私心もある、
猿智慧
(
さるぢえ
)
もある。
雪の宿り
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
あいつは
大人
(
おとな
)
しい顔をして、悪事を働いて、人が何か云うと、ちゃんと
逃道
(
にげみち
)
を
拵
(
こしら
)
えて待ってるんだから、よっぽど
奸物
(
かんぶつ
)
だ。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「
奸物
(
かんぶつ
)
にも取りえはある。おぬしに表門の
采配
(
さいはい
)
を振らせるとは、林殿にしてはよく出来た」
阿部一族
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
勝が
奸物
(
かんぶつ
)
だという評判は、つまり彼が外交に苦心しているところなんだろう。小栗が軍用金を集めるということは、彼が主戦論の代表だということに、そのままそっくり受取れる。
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
自分
妾狂
(
めかけぐるい
)
しながら
息子
(
むすこ
)
の
傾城買
(
けいせいがい
)
を
責
(
せむ
)
る人心、あさましき中にも道理ありて、
七
(
しち
)
の所業
誰
(
たれ
)
憎まぬ者なければ、酒
呑
(
のん
)
で居ても
彼奴
(
きゃつ
)
娘の血を
吮
(
す
)
うて居るわと
蔭言
(
かげごと
)
され、
流石
(
さすが
)
の
奸物
(
かんぶつ
)
も
此処
(
ここ
)
面白からず
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
もし彼が野望の
奸物
(
かんぶつ
)
なら、当然、勝目のわかっている北条方へ付く。
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
が、一方では
奸物
(
かんぶつ
)
として憎まれ嫌われはばかられていた。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
それで少しは心が慰さまうかと思つたのだ。世間では伊勢殿が悪いといふ。
成程
(
なるほど
)
あの男は
奸物
(
かんぶつ
)
だ、淫乱だ、私心もある、
猿智慧
(
さるぢえ
)
もある。
雪の宿り
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
「少しぐらい身体が疲れたって構わんさ。あんな
奸物
(
かんぶつ
)
をあのままにしておくと、日本のためにならないから、僕が天に代って
誅戮
(
ちゅうりく
)
を加えるんだ」
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
七兵衛らは
昂然
(
こうぜん
)
と「殿を悪所遊びに誘い、このたびの大事に至らしめた
奸物
(
かんぶつ
)
だから、
誅殺
(
ちゅうさつ
)
したのである」
樅ノ木は残った:03 第三部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「誰いうとなく、そういった
噂
(
うわさ
)
が聞えていますのよ、勝は
奸物
(
かんぶつ
)
ですって」
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「ああやって喧嘩をさせておいて、すぐあとから新聞屋へ手を廻してあんな記事をかかせたんだ。実に
奸物
(
かんぶつ
)
だ」
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
私はそのまえに
奸物
(
かんぶつ
)
どもが策謀して、罪を陸田さんになすりつけるような、……むろんこれは杞憂だと思うが、奸物どもとしてはそのくらいの謀略はやりかねない、私はそのことを心配しますね
日日平安
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
得手
(
えて
)
に帆揚げる四藩の
奸物
(
かんぶつ
)
大菩薩峠:41 椰子林の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
男は「
奸物
(
かんぶつ
)
」というような叫びをあげ、抜き打ちに甲斐へ斬りつけた。刃がにぶい光をとばし、甲斐はうしろへ
躱
(
かわ
)
しながら、左手を振った。案内の侍が
狼藉
(
ろうぜき
)
者と喚き、久馬が割ってはいろうとした。
樅ノ木は残った:03 第三部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
“奸物”の意味
《名詞》
悪知恵がはたらくひねくれた者。
(出典:Wiktionary)
奸
漢検1級
部首:⼥
6画
物
常用漢字
小3
部首:⽜
8画
“奸物”で始まる語句
奸物共