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え
「
俺れこと
忘れたんべ
此ら、
大かく
成つたと
思つて
來たつけが
本當に
分んねえ
程大かく
成つたな」
寡言な
卯平が
此の
夜は
種々に
饒舌つた。
あ……それじゃア何か二人ともにまア
不義アして居ただアな、いゝや隠さねえでも
宜い、
不義アしたって
宜い、
宜い/\/\能くした、
大かくなるもんだアな
「そんだら
見さつせえそれ、十五
匁だんべ、
俺がな
他人のがよりや
大けえんだかんな」
商人は
目笊の
目を
掛けて
見せて
「おつうも
大かくなつたな、
途中でなんぞ
行逢つちや
分んねえな、そんだが
汝りや
有繋俺れこた
忘れなかつたつけな」