大喝采だいかっさい)” の例文
……あなたは、できたての自作の舞踏曲ブウレを、酒場のぼろピアノがきしむほどに熱い息吹きで奏きたてる。……ミューズもアポロも大喝采だいかっさい
キャラコさん:05 鴎 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「皆知っていますから、固唾かたずを飲んで聞いていて、終ると直ぐに大喝采だいかっさいです。大将、それを自分がうまい所為せいだと思って、大喜びをします」
ガラマサどん (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
この茂みの発見されたことを新聞は大喝采だいかっさいをして迎えたし、誰もかれもみんなこれこそまさに凶行の現場であると想像したが、それにもかかわらず
一段と器用なできばえのうえに渡と信じて思い人の袈裟御前を突き刺すあたりは真に迫っていたものでしたから、もとより満場は割れるような大喝采だいかっさい——。
大喝采だいかっさいを受けたことは歌にも歴史にも記してある通りであるが、またその後においてただちに彼の名誉を傷つけんとしたり、彼をうらねたんだ者から見れば
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
そしてその幕切れのところで劇の女主人公におどりかかると、大向うを初めとして諸見物の大喝采だいかっさいを得た
猫八 (新字新仮名) / 岩野泡鳴(著)
と、後はなにがなんだか、れかえるような騒ぎで、合唱も器楽もみ消されてしまった。実に空前くうぜん大喝采だいかっさい、空前の昂奮だった。——何がジュリアをこうも元気づけたか?
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
さてこの幽霊がここでおおいに文士保護の演説をすると、見物は大喝采だいかっさいで、金貨や銀貨を無暗むやみに舞台に向つて投げる、投げた金貨銀貨は皆飛んで往て文士の墓へひつついてしまふ。
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
また婆さん連の中へ不意にかおを出しては笑わせ、娘たちを追い廻しては驚かせ、最も滑稽なのは、大漁踊りの中へ飛入りをして、ダンスまがいで踊り出した恰好かっこうが、大喝采だいかっさいでありました。
大菩薩峠:28 Oceanの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
かつて墨汁一滴か何かの中に、独乙ドイツでは姉崎や、藤代が独乙語で演説をして大喝采だいかっさいを博しているのに漱石は倫敦ロンドン片田舎かたいなかの下宿にくすぶって、婆さんからいじめられていると云う様な事をかいた。
すさまじい大立廻おおたちまわり。見物席は大喝采だいかっさい、哄笑爆笑の渦巻で湧き返る様だ。
黄金仮面 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
湧き返るような大喝采だいかっさい、大歓呼のうちに、やがて、砲塔の円蓋を排して現われたのは、眉美まみうるわしき一人の東洋的令嬢にほんのおじょうさん
軍国の際のごときことにしかり、将軍の凱旋がいせんを見て、おのれも軍人にならんと思い、某代議士が演説に大喝采だいかっさいを得たるを聞いては、おのれもただちに代議士たらんことを思い
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
ことに、あの朗々ろうろうたる美音びおんで、がらにもなくシューベルトの子守歌を一とくさり歌ってきかせたときなどは、満場まんじょう大喝采だいかっさいであった。だが、その温厚な大使も、僕にとっては、敵国人に違いはなかった。
人造人間殺害事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
その跛足びっこがまた大喝采だいかっさい
大喝采だいかっさいだ。
キャラコさん:05 鴎 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)