夜々よるよる)” の例文
学者がくしゃは、しばらくたたずんで、むかし、このてらうつくしいあまさんが、夜々よるよるそらあおいで、つきひかりに、くも姿すがたに、物思ものおもいにしずんだ姿すがた想像そうぞうしたのであります。
三つのかぎ (新字新仮名) / 小川未明(著)
かくすること日を重ねたりしに、次第にその女のところへ村の何某という者夜々よるよるかようといううわさ立ちたり。
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
さあ、ぐつすりるとしよう。耶蘇イエススよ。十字架クルスふあのしろ幼児をさなごたちをも、夜々よるよるむらしたまへ。われまことにかくねがたてまつる。あゝむくなつた。われまことにかくねがたてまつる。
あれほど、夜々よるよる見て居た俤人おもかげびとの姿も見ずに、安らかな気持ちが続いているのである。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
(上略)近ごろは夜々よるよるおん姿の夢に入り実に実に一日千秋の思いを
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
そのさかずきてんいてささげられてある。ほし夜々よるよるにそのやまみねとおるときに、一てきつゆとしてゆく。そのつゆが千ねん万年まんねんと、そのさかずきなかにたたえられている。
不死の薬 (新字新仮名) / 小川未明(著)