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夕鴉
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ゆうがらす
ふりがな文庫
“
夕鴉
(
ゆうがらす
)” の例文
幽
(
かす
)
かに聞える
伝通院
(
でんずういん
)
の
暮鐘
(
ぼしょう
)
の
音
(
ね
)
に誘われて、
塒
(
ねぐら
)
へ急ぐ
夕鴉
(
ゆうがらす
)
の声が、
彼処此処
(
あちこち
)
に聞えて
喧
(
やか
)
ましい。既にして日はパッタリ暮れる、
四辺
(
あたり
)
はほの暗くなる。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
今まで
長閑
(
のどか
)
そうにかかっていた
凧
(
たこ
)
の影もいつか
夕鴉
(
ゆうがらす
)
の黒い影に変わって、うす寒い風が吹き出して来た。
箕輪心中
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
晩秋の日は
甲州
(
こうしゅう
)
の山に傾き、膚寒い
武蔵野
(
むさしの
)
の夕風がさ/\尾花を
揺
(
ゆ
)
する野路を、夫婦は疲れ足曳きずって甲州街道を指して歩いた。
何処
(
どこ
)
やらで
夕鴉
(
ゆうがらす
)
が唖々と鳴き出した。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
土間のうちは、
薪
(
まき
)
の煙や煮物のにおいでもう暗かったが、外は、夕焼け空が火事のように道まで赤くしていて、
暖簾
(
のれん
)
のうごくたび、東寺の塔の
夕鴉
(
ゆうがらす
)
が黒い火の粉みたいに遠く見える。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
…失礼します。……
居堪
(
いたたま
)
らなくて、座を立つと、——「散歩をしましょう。上野へでも、秋の夕景色はまた格別ですよ。」こっちはひけすぎの
廊下鳶
(
ろうかとんび
)
だ。——森の
夕鴉
(
ゆうがらす
)
などは性に合わない。
白花の朝顔
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
夕日の残る
枯尾花
(
かれおばな
)
、
何処
(
どこ
)
やらに鳴く
夕鴉
(
ゆうがらす
)
の声も、いとどさすらえ人の感を深くし、余も妻も唯
黙
(
だま
)
って歩いた。
我儕
(
われら
)
の行衛は
何処
(
どこ
)
に落ちつくのであろう? 余等は
各自
(
てんで
)
に斯く案じた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
寛永寺の森に、
夕鴉
(
ゆうがらす
)
の寒い羽ばたきが聞える。あたりの桜も、淡墨色に暮れて来た。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そのうちに、濠の水は、
茜色
(
あかねいろ
)
にそまり、
夕鴉
(
ゆうがらす
)
の啼く声をふと耳にして
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
夕鴉
(
ゆうがらす
)
治郎吉格子
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
夕
常用漢字
小1
部首:⼣
3画
鴉
漢検1級
部首:⿃
16画
“夕”で始まる語句
夕
夕餉
夕飯
夕陽
夕方
夕靄
夕闇
夕日
夕暮
夕焼