“ゆうがらす”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
夕鴉80.0%
夕烏20.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
晩秋の日は甲州こうしゅうの山に傾き、膚寒い武蔵野むさしのの夕風がさ/\尾花をする野路を、夫婦は疲れ足曳きずって甲州街道を指して歩いた。何処どこやらで夕鴉ゆうがらすが唖々と鳴き出した。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
土間のうちは、まきの煙や煮物のにおいでもう暗かったが、外は、夕焼け空が火事のように道まで赤くしていて、暖簾のれんのうごくたび、東寺の塔の夕鴉ゆうがらすが黒い火の粉みたいに遠く見える。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「げに歌人、詩人といふは可笑おかしきものかな。蝶二つ飛ぶを見れば、必ず女夫めおとなりと思へり。ねぐらかえ夕烏ゆうがらすかつて曲亭馬琴に告げていわく、おれは用達ようたしに行くのだ」
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
時はすでに午後四時過ぎ、夕烏ゆうがらすの声遠近おちこちに聞こゆるころ、座敷の騒ぎをうしろにして日影薄き築山道つきやまみち庭下駄にわげたを踏みにじりつつ上り行く羽織袴はおりはかまの男あり。こは武男なり。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)