“夕鴉”の読み方と例文
読み方割合
ゆうがらす100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
かすかに聞える伝通院でんずういん暮鐘ぼしょうに誘われて、ねぐらへ急ぐ夕鴉ゆうがらすの声が、彼処此処あちこちに聞えてやかましい。既にして日はパッタリ暮れる、四辺あたりはほの暗くなる。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
今まで長閑のどかそうにかかっていたたこの影もいつか夕鴉ゆうがらすの黒い影に変わって、うす寒い風が吹き出して来た。
箕輪心中 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
晩秋の日は甲州こうしゅうの山に傾き、膚寒い武蔵野むさしのの夕風がさ/\尾花をする野路を、夫婦は疲れ足曳きずって甲州街道を指して歩いた。何処どこやらで夕鴉ゆうがらすが唖々と鳴き出した。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)