夕烏ゆうがらす)” の例文
「げに歌人、詩人といふは可笑おかしきものかな。蝶二つ飛ぶを見れば、必ず女夫めおとなりと思へり。ねぐらかえ夕烏ゆうがらすかつて曲亭馬琴に告げていわく、おれは用達ようたしに行くのだ」
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
時はすでに午後四時過ぎ、夕烏ゆうがらすの声遠近おちこちに聞こゆるころ、座敷の騒ぎをうしろにして日影薄き築山道つきやまみち庭下駄にわげたを踏みにじりつつ上り行く羽織袴はおりはかまの男あり。こは武男なり。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)