さい)” の例文
後又、北はさいを出でゝ元の遺族を破り、南は雲南うんなんを征して蛮を平らげ、あるい陝西せんせいに、或はしょくに、旗幟きしの向う所、つねに功を成す。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
諏訪様の方では、牛は鈍いからと、夜中にたって大急ぎでやって来られたので、先に越後分のさいの神という所まで来て、そこでやっと越後様の馬と出あわれた。
日本の伝説 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
かゆなど喰わせて、ともあれ陣中に捕虜としておいたところ、この捕虜は、やがて夜半となると、俄然がぜん、行動を起して、忽ち寄手の一さいを占領し、武器を奪い、火を放ち、追々勢いを加えて
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
目の前なるさいかみやしろしますと
二十二年春、建文帝東行したまい、冬十月史彬しひんと旅店にあいう。このとし阿魯台アルタイ大同だいどうあだす。去年阿魯台アルタイを親征し、阿魯台アルタイのがれて戦わず、師むなしく還る。今又さいを犯す。永楽帝また親征す。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
たま/\北辺に寇警こうけいありしを機とし、防辺を名となし、燕藩の護衛の兵を調してさいでしめ、其の羽翼うよくを去りて、其の咽喉いんこうやくせんとし、すなわ工部侍郎こうぶじろう張昺ちょうへいをもて北平左布政使ほくへいさふせいしとなし
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)