堂々どうどう)” の例文
余はことに彼ヤイコクが五束いつつかもある鬚髯しゅぜん蓬々ぼうぼうとしてむねれ、素盞雄尊すさのおのみことを見る様な六尺ゆたかな堂々どうどう雄偉ゆうい骨格こっかく悲壮ひそう沈欝ちんうつな其眼光まなざし熟視じゅくしした時
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
彼の眼前に大岩が——大岩というより岩山が、高さ数十丈広さ数町、峨々がが堂々どうどうとしてそびえていたが、正面に一つの口があってそこから内へはいれるらしい。
東京は大正十二年九月の大震災だいしんさいにあって、目ぬきの大通りの町屋まちやは、ほとんとみな焼けくずれて、そのあとへはまるで以前のものとはちがった、屋根の平たい堂々どうどうたる
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
そんな卑怯ひきょうきはできぬ。やはりけるのをって、堂々どうどう勝負しょうぶあらそほかはない。
鎮西八郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
しかし、今日きょうは、故郷こきょうかえることをもうしあげに、靖国神社やすくにじんじゃへおまいりをするのであります。清作上等兵せいさくじょうとうへいは、軍服ぐんぷく威儀いぎをただして、金色きんいろ徽章きしょうむねにつけ、堂々どうどうとして宿やどかけたのでありました。
村へ帰った傷兵 (新字新仮名) / 小川未明(著)