トップ
>
垂籠
>
たれこ
ふりがな文庫
“
垂籠
(
たれこ
)” の例文
やよ聴水。
縦令
(
たと
)
ひわれ老いたりとて、
焉
(
いずく
)
ンぞこれしきの雪を恐れん。かく洞にのみ
垂籠
(
たれこ
)
めしも、決して寒気を
厭
(
いと
)
ふにあらず、獲物あるまじと思へばなり。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
今日は十一月四日、打続いての快晴で空は
余残
(
なごり
)
なく晴渡ッてはいるが、
憂愁
(
うれい
)
ある身の心は曇る。文三は朝から
一室
(
ひとま
)
に
垂籠
(
たれこ
)
めて、独り
屈托
(
くったく
)
の
頭
(
こうべ
)
を
疾
(
や
)
ましていた。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
顔を見るさえ許さざれば
垂籠
(
たれこ
)
めたる
室
(
ま
)
の内に、下枝の泣く声聞く
毎
(
たび
)
に我は
腸
(
はらわた
)
を断つばかりなりし。
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
かくなりてより彼は
自
(
おのづか
)
ら唯継の面前を
厭
(
いと
)
ひて、寂く
垂籠
(
たれこ
)
めては、随意に物思ふを
懌
(
よろこ
)
びたりしが、図らずも
田鶴見
(
たずみ
)
の
邸内
(
やしきうち
)
に貫一を見しより、彼のさして昔に変らぬ一介の書生風なるを見しより
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
時は日ごとに定まらねど、垣根に
彳
(
たたず
)
めば姉上の直ちに見えたまう。
垂籠
(
たれこ
)
めていたまうその居間とは、樹々の
梢
(
こずえ
)
ありて遮れど、それと心着きてや必ず庭に来たまうは、虫の知らするなるべし。
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
久く
垂籠
(
たれこ
)
めて友欲き宮は、
拯
(
すくひ
)
を得たるやうに覚えて、有るまじき事ながら、或は
密
(
ひそか
)
に貫一の報を
齎
(
もたら
)
せるにはあらずやなど、
枉
(
ま
)
げても念じつつ、せめては
愁
(
うれひ
)
に閉ぢたる胸を
姑
(
しばら
)
くも
寛
(
ゆる
)
うせんとするなり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
小暇を得て、修善寺に遊んだ、一——新聞記者は、暮春の雨に、三日ばかり降込められた、宿の出入りも番傘で、ただ
垂籠
(
たれこ
)
めがちだった
本意
(
ほい
)
なさに、
日限
(
ひぎり
)
の帰路を、折から快晴した浦づたい。
半島一奇抄
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
両箇
(
ふたり
)
はやや熱かりしその日も
垂籠
(
たれこ
)
めて
夕
(
ゆふべ
)
に
抵
(
いた
)
りぬ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
垂
常用漢字
小6
部首:⼟
8画
籠
常用漢字
中学
部首:⽵
22画
“垂”で始まる語句
垂
垂下
垂木
垂々
垂井
垂涎
垂髪
垂氷
垂簾
垂水