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善惡
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ぜんあく
演長助お光の兩人は是で
此方に
拔目はないと
小躍をして立戻り長助は
直ちに訴訟書をぞ
認めける
總て公事は訴状面に
依て
善惡邪正を
娘に
書かせたる
事論なしとこゝの
内儀が
人の
惡き
目にて
睨みぬ、
手跡によりて
人の
顏つきを
思ひやるは、
名を
聞いて
人の
善惡を
判斷するやうなもの、
當代の
能書に
業平さまならぬもおはしますぞかし
落せしより
※らずも
無實の罪に
陷入一
旦入牢仰せ付られけるが
上に
聖賢の
公存ませば下に
忠良の臣あつて
能國家を
補翼す故に今
斯明白に
善惡邪正を
宥められ
豆州八丈島へ
流罪存命せしも長庵の大罪に處せられけるも
善惡應報の然らしむる所にして
敢て
珍しからず