)” の例文
その時みんなの頭の上をまっ黒な大きな大きなものがゴーゴーゴーとえて通りかかりました。ひとではあわててみんなお辞儀じぎをしました。
双子の星 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
この瞬間、我々にも昨日からの凄まじい響きやえたけっている狂瀾や、その上に浮んでいる無数の気泡の原因が、ハッと胸を衝いてきたのであった。
ウニデス潮流の彼方 (新字新仮名) / 橘外男(著)
りゅううそぶきとらえるありさま、ややしばらく、人まぜもせず、石火せっかの秘術をつくし合ったが、すきをみて、走りよった伊那丸いなまるが、陣刀一せん、又八の片腕サッと斬りおとす。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
泣いたり、えたり、気を失ったり、テーブルを転覆ひっくりかえしたり、御丁寧にランプまでこわして騒ぎを入れるには当らない事だ。お春さんは衣服きものを少しやぶき、お歌さんは手を火傷した。
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「ばか阿女、いくらでもえろ」と浩平は気圧けおされ気味で、にっと笑った。
(新字新仮名) / 犬田卯(著)
ぜる火と、える鉄と
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
ぜる火と、える鉄と
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
吹雪のえ狂う北日本海の暗い怒濤どどうの陰におびえながら瞬いているようなわびしい漁師町と思えば間違いはない。
生不動 (新字新仮名) / 橘外男(著)
駅前の讃岐さぬき屋という旅館へかばんを預けて、昔私が通っていた小学校や、その学校の前から街道続きで、昔の藩主の城跡や、仲間とよく遊んだ老松の海風にえているお城下の海岸や
棚田裁判長の怪死 (新字新仮名) / 橘外男(著)
ただ聞えてくるものとては遥かの相模灘さがみなだから吹き上げてくる強い海風を受けて、物怪もののけでも棲んでいそうなほど鬱蒼うっそうたる全山の高いこずえが絶え間もなく飄々ひょうひょうたけっているばかりであった。
逗子物語 (新字新仮名) / 橘外男(著)
マフチャズが大きな声でえた! マフチャズの咆哮はだんだん大きくなる、何とえているのか私にはただウォーッ! ウォーッ! とのみしか聞えてこぬ。父様は喜悦とおっしゃった。
令嬢エミーラの日記 (新字新仮名) / 橘外男(著)
この深さで広袤こうぼう実に百二十哩という、前古未曾有みぞうの大渦巻が大円を描いて轟々ごうごうえ狂っている物すごさ、恐ろしさ、すさまじさというものを皆様は一体御想像になり得るものでありましょうか?
ウニデス潮流の彼方 (新字新仮名) / 橘外男(著)