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名石
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めいせき
此日雲飛は
待ちに
待つた日が
來たので
夜の
明方に
海岱門に
詣で見ると、
果して一人の
怪しげな男が
名石を
擔いで
路傍に立て居るのを見た。
……ところが昨年のこと、
徽宗皇帝が、
万歳山の離宮にお庭作りを営まれるに当って、制使十名を、
西湖へご派遣になり、西湖の
名石をたくさん、都へ運ばせることになった
そこで
彼の
權官は
首尾よく
天下の
名石を
奪ひ
得てこれを
案頭に
置て
日々眺めて居たけれども、
噂に
聞きし
靈妙の
働は少しも見せず、雲の
湧などいふ
不思議を
示さないので、
何時しか石のことは
打忘れ