吉瑞きちずい)” の例文
父ぎみの今朝のお顔から見て、吉瑞きちずいのように思われたらしい。——はや出御しゅつぎょとあって、仮屋かりやのうちの公卿たちも、あらまし姿を揃えていた。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「それもこの菊一文字の御利益よ、さすがに名刀の徳は争われぬ、今宵は宵節句でもあり三年の宿願もかない、吉瑞きちずい一時に到るというものだ、みんな愉快に思う存分やってくれ」
武道宵節句 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
何か見馴みなれません綺麗な鳥が、種をこぼして行ったと申して、熱海中の吉瑞きちずい神業かみわざじゃと、みんなが、大抵めでたがりました事でござりますが、さてこうなってみますると、それが早や魔のわざ
わか紫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「さてこそ、吉瑞きちずいです。一刻も早く、車をご用意あって、朝へ上り、詔をおうけなされたがよいと思います」
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
朱いかぶと、朱地金襴きんらん戦袍せんぽう朱柄あかえの槍、朱い幟旗しきを揃えて、八卦はっけ吉瑞きちずいにかたどって陣列を立て、その中央に、大将曹操をかこんで、一そく、大地を踏み鳴らして入城した。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あたりのわるい堂上では、ややもすると、物のだとか、けがれだとか、やれ吉瑞きちずい凶兆きょうちょうのと、のべつ他愛たあいないおびえの中で暮しているが、おれたち、陽あたりのいい土壌の若者には
不思議のそうろうぞ。北越の一族がかくも早く来たり会すなどは、まったく八幡はちまんのご加護によろう。新田ノ庄を出ていらい、われには事ごと、吉瑞きちずいがある。行くところで味方は勝とう。いくさは勝つ。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「それは、めでたい。当家にとっても吉瑞きちずいだ」
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なんとなくうれしい吉瑞きちずい
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「……吉瑞きちずいだ」
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)