北畠きたばたけ)” の例文
「これからはまた新田の力で宮方も勢いを増すでおじゃろ。くすのき北畠きたばたけが絶えたは惜しいが、また二方が世にすぐれておじゃるから……」
武蔵野 (新字新仮名) / 山田美妙(著)
北畠きたばたけ浪人で別部伝九郎でんくろうさまといえば、中国すじから関東まで知られた勇士だ、いまに鬼剛兵衛なんぞは地面へはわせてやるから見ていろ
だんまり伝九 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
北畠きたばたけ権中納言ごんちゅうなごん具行ともゆきの手で、天皇後醍醐の御名みなによる徴兵の秘勅が、諸国の武門へむかって発せられた。
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
雅家まさいえ北畠きたばたけと号す——北畠親房きたばたけちかふさその子顕家あきいえ顕信あきのぶ顕能あきよしの三子と共に南朝なんちょう無二の忠臣ちゅうしん楠公なんこう父子と比肩ひけんすべきもの、神皇正統記じんのうしょうとうきあらわして皇国こうこくの正統をあきらかにす
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
すなわち新田にったの残党や、又、北畠きたばたけの残党や、楠氏なんしの残党その者達である。
弓道中祖伝 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
花の中なる枯木こぼくと観じて、独り寂寞じゃくまくとして茶を煮るおうな、特にこの店に立寄る者は、伊勢平氏の後胤こういんか、北畠きたばたけ殿の落武者か、お杉お玉の親類のはずを、思いもかけぬ上客じょうかくにん引手夥多ひくてあまた彼処かしこを抜けて
伊勢之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「これから伊勢いせ北畠きたばたけを攻めにまいる。おまえにも兵を預けるからひと合戦してみろ。初陣ういじんに鶴千代では名が弱い。今日から忠三郎賦秀たださぶろうたけひでと名乗るがよい」
蒲生鶴千代 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
この曠世こうせいな大演武には、信長の一族、岐阜ぎふ中将信忠のぶただ北畠きたばたけ中将信雄のぶお、織田三七信孝のぶたか、柴田、前田、明智、細川、丹羽にわそのほかの諸侯から将士約一万六千余と、会衆十三万余人という盛況の下に行われ
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)