勝色かちいろ)” の例文
只家康の方が早くも朝倉勢に勝色かちいろを見せ初めたので家康の援軍として控えている稲葉一徹が、家康の方はもう大丈夫と見て、浅井勢の右翼に横槍を入れたのと
姉川合戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
織田家に勝色かちいろがあがれば、招かずして、織田家に来るという——それだけは、結果として確実だといえる。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
金で乱菊を織出した繻珍しゅちん黒繻子くろじゅすの打合せの帯、滝縞たきじまのおめし縮緬に勝色かちいろのかわり裏、同じすそを二枚かさねて、もみじに御所車の模様ある友染ゆうぜんに、緋裏ひうらを取った対丈襦袢ついたけじゅばん、これに、黒地に桔梗ききょうの花を
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
勝色かちいろ飾磨しかまそめ
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
という勝色かちいろの中にどよめいていたが、帷幕いばくのうちの光秀は、祐筆ゆうひつを側へひき寄せて、次々に書状をしたためさせ、それに自身が花押かおうして、また、側臣と何か密議しているなど、多忙と緊張の極に
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「あなた、可いんですよ、私お金子を持っています、何にも遣わないお小遣こづかい沢山たんとあるわ、銀のだの、貴下、紙幣さつのだの、」といいながら、窮屈そうに坐ってかしこまっていた勝色かちいろうらのつまを崩して
註文帳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
赫耀かくやくとしてかゞやく、黄金わうごんはな勝色かちいろ鼓草たんぽゝわしはうへ。」
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
むらさきあけうばふ、お姫様ひめさますみれはなが、勝負事しようぶごとには勝色かちいろぢや。」
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)