割符わりふ)” の例文
打ち合せて居たんだ。仲間の割符わりふはあの四つ瓣の梅の眞鍮札さ、中に彫つてあるまん字、四つ瓣の花形、皆んな十字架クルスぢやないか
「ただの旅人ならば、関所の割符わりふを要し、おおやけの通行には告文なくば関門を通さぬことぐらいは、将軍もご承知であろう」
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
同級生に慢性の神経衰弱で始終むずかしい顔をしている男があったから、徴候を訊いて見たら、割符わりふを合せたようだった。イヨ/\本物の神経衰弱だと思い込んだ。
善根鈍根 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
とくにブラジルの沿岸えんがんのでつぱりに丁度ちようど割符わりふあはせたようにつぎはされることを氣附きづかれるであらう。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
先へ行くのは、遥々はるばると来た二人を案内するためではなく、時候おくれの親子を追い越してけ抜けるためのように見える。割符わりふとはうり二つを取ってつけてくらべるための証拠しるしである。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
梁山泊りょうざんぱく割符わりふでも襟に縫込んでいそうだったが、晩の旅籠にさしかかったうえ疲労つかれは、……六よ、怒るなよ……実際余所目よそめには、ひょろついて、途方に暮れたらしく可哀あわれに見えた。
浮舟 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
水火の奥ゆるしが割符わりふとなって夜泣きの大小の中心なかごに巻き納めてあるということを認めた、やすり箱の中の孫六の別札真筆べっさつしんぴつも、とうとう見出される機とてもなく、古今の貴法きほうのうえに
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
割符わりふか、よし押してやろ」
傾城買虎之巻 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
そのたび権三は六波羅割符わりふをしめし、大蔵は、表に「二階堂」裏に「荷駄組」と烙印やきいんした手脂でひかッている分厚い鑑札かんさつを兵に見せて通って来たのだ。
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いや、そちの意見も、郭嘉のことばも、まるで割符わりふを合わせたようだ。予も、欠点の多いことは知っている。そういいところばかりある完全な人間ではないよ」
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「さにあらず、道中の関々にて、割符わりふを持たねば、通さぬは必定ひつじょう、かならず所々にて、難儀やしつらんと、後にて思い出され、次々と三度までの告文を発せられました」
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「そうだ、それが上策。すぐ追ってゆけ」と、関門の割符わりふを与えてしまった。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「おお、割符わりふを合わせたようだ」
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)