別誂べつあつら)” の例文
幸い誰も気がつかなかったけれど……見給え、この靴は別誂べつあつらえなんだ。不恰好を構わず、出来るだけ楽なように、足の形のままに作らせたんだ。
大きなことをいうと思ったが、だんだんくと、大牟田にある三井の染料工場から「劇薬」をシャくうのに使うとかで、別誂べつあつらえの註文ちゅうもんだったという。——
冬枯れ (新字新仮名) / 徳永直(著)
喬之助と右近の影武者同士は例によって神出鬼没しんしゅつきぼつをきわめ、魚心堂はその唯一の武器である別誂べつあつらえの釣竿を振り廻し、知らずのお絃ちゃんは男装している。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
そこはそれ! 天性の厚化粧、別誂べつあつらいのつらの皮でげすから、さりげなくその短冊を拝見の、こう、首を少々横にひねりましてな、いささか平貞盛とおいでなすってからに
大菩薩峠:40 山科の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
島徳蔵氏は成金の一にんである。最近弟の定治郎ていぢらう氏が、多額納税議員に当選したので、島氏はこの世界は神様が自分達の為に別誂べつあつらへに拵へたもののやうに思ひ出したらしい。
これが非常ひじやう有効ゆうかうであつたので、(勿論もちろん先輩中せんぱいちうすで小萬鍬せうまんぐわもちゐてひとつたさうだが、それは三ぼんづめの、きはめてせうなるものまへ鍛冶屋かじやに四ほん大形おほがたのを別誂べつあつらへするなど
「蝶々にも並出来と別誂べつあつらえとあるのか」
「蝶々にも並出來と別誂べつあつらへとあるのか」