切下きりさげ)” の例文
先生が奥さんといっしょにうちける場合には、五十恰好がっこう切下きりさげの女の人がどこからか来て、留守番をするのが例になっていた。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
拾ひ取眞向まつかうより唐竹割からたけわり切下きりさげたれば何かは以てたまるべき宅兵衞は聲をも立ず死したりけり吾助は一いきついあたりを見廻し宅兵衞が懷中ふところ掻探かきさぐ持合もちあはせたる金子五兩二分を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
彼女の髪は童女の習慣どおり、侍童ページのように、肩あたりまでの長さに切下きりさげにしてあった。
クララの出家 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
このおっかさんの上に、また切下きりさげ御祖母おばあさんがいて、その御祖母さんがまた喜いちゃん喜いちゃんと呼んでいる。喜いちゃん御琴おこと御稽古おけいこに行く時間ですよ。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
只今たゞいま是へいだすべしと言れけば同心はかしこまり候と立て行けるが頓て身には半※はんてん眞向まむきよりほゝへ掛て切下きりさげられし疵痕きずあとありせいひくひげ蓬々ぼう/\として如何にもみすぼらしなる者を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
切下きりさげられあつと玉ぎる一聲と共に落せし提灯のぱつ燃立もえたつあかりに見れば兄なる長庵が坊主天窓ばうずあたま頬冠ほゝかぶ浴衣ゆかたしりひつからげ顏をそむけて其場にたゝずみ持たる脇差わきざし取直し再度ふたゝびかうよと飛蒐とびかゝるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)