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出格子
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でがうし
其大仏餅屋の
一軒おいて
隣家が、
表が
細い
栂の
面取りの
出格子になつて
居りまして
六尺、
隣りの
方が
粗い
格子で
其又側が
九尺ばかりチヨイと
板塀になつて
居る、
無職業家でございまする。
通り候
機出格子の中にて
金談の聲致すにより何事やらんと承まはりしに彦兵衞事
無心の處
折惡く百兩は御門跡に奉納の願ひにて
御講中に差上る
積是見給へとて彼女隱居は紙に包みし金子を
送ける或日兩國邊より
歸る
途中俄に
夕立降來り
雷夥多敷鳴渡れども
雨具なければ馬喰町の馬場の
脇に
出格子の有る家を幸ひに
軒下に
立停り我が
宅も早二三町なれども歸ること
叶ず
雨に
濡て居るを