かたま)” の例文
晴れた日は乾いて黒いが雨ふればかたまった血のように見えるのだと述べ居る、この藻は和歌山市の墓地などに多く
八蔵は泰助にうらみあれば、その頭蓋骨は砕かれけん髪の毛に黒血かたまりつきて、頬より胸に鮮血なまちほとばしり眼を塞ぎ歯をしばり、二目とは見られぬ様にて、死しおれるにもかかわらず。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
みんな天の川のすなかたまって、ぼおっとできるもんですからね、そして始終しじゅう川へ帰りますからね、川原でっていて、さぎがみんな、あしをこういうふうにしておりてくるとこを
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
しかし、あれは索引インデックスみたいな女なんだ。記憶のかたまりが将棋盤の格みたいに、正確な配列をしているにすぎない。そうだ、まさに正確無類だよ。だから、独創も発展性も糞もない。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
会場の前では大勢の人々がかたまり合って喧しく盗難事件の噂をしていた。一時閉場された会場の非常口から入ってゆくと、係員達が空間になった壁の前に立って、善後策を評議中であった。
日蔭の街 (新字新仮名) / 松本泰(著)
これを圧搾して酒精アルコールかたまらせると二分の一プロセントくらいのゴムが取れる。
話の種 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
二人とも昨夜ゆうべは遅く帰ったから、何にも知らないって言い張るが、——血のかたまった様子では、周助が殺されたのは夜中前だ、どっちか先に帰ったものが殺したにちげえねえ——とこういう鑑定だ
若者血かたまり毛つまで怖ろしかったが、思い切って蛇群中に割り込むと、蛇ども怒りうそぶき、口を開いて咬まんとすれど、身々密にあいまとうて動作自在ならず、かれこれ暇取る内に