すざま)” の例文
そしていきおすざまじく、井戸の中に落ちていった。夫への最後の贈物だ。——ちょっと間を置いて、何とも名状めいじょうできないような叫喚きょうかんが、地の底から響いてきた。
俘囚 (新字新仮名) / 海野十三(著)
一日あるひ夢然、三条の橋を過ぐる時、一五二あくぎやくづかの事思ひ出づるより、かの寺ながめられて、白昼ひるながら物すざましくありけると、みやこ人にかたりしを、そがままにしるしぬ。
点火器ライターの小さい焔がユラユラとゆらめくと、死人の顔には、真黒ないろいろの蔭ができて、悪鬼あくきのようにすざまじい別人のような形相ぎょうそうが、あとからあとへと構成され
麻雀殺人事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
一六九下屋しもやの窓の紙にさと赤き光さして、あなにくや、ここにもしつるよといふ声、深き夜にはいとどすざましく、かみ一七〇生毛うぶげもことごとく聳立そばだちて、しばらくはりたり。
院、手をつてよろこばせ給ひ、かの讐敵あたどもことごとく一三三此の前の海に尽すべしと、御声谷峯にひびきて、すざましさいふべくもあらず。魔道の浅ましきありさまを見て涙しのぶにへず。