やつがれ)” の例文
「いやとよ大王。大王もしまこと空腹ものほしくて、食物かてを求め給ふならば、やつがれ好き獲物をまいらせん」「なに好き獲物とや。……そは何処いずこに持来りしぞ」
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
かく、一五五一年、時の碩学せきがくロウジャ・アスカムがブラッドゲイトの城にジェイン・グレイを訪ねて、その叡才えいさいに舌をいた折の情景は、やつがれ未だ彼自らの手に成る記録を読む機会を得ず
ジェイン・グレイ遺文 (新字旧仮名) / 神西清(著)
白髪の音楽家 やつがれがお嬢様のお機嫌を直してお見せ申しましょう。
レモンの花の咲く丘へ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
さるによつてやつがれは、常に和殿を貴とみ、早晩いつかよしみを通ぜんとこそ思へ、いささかも仇する心はなきに、何罪科なにとがあつて僕を、かまんとはしたまふぞ。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
「しからばやつがれもお同伴ともいたす」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
他は犬われは狐、とてもかなはぬ処なれば、復讐あだがえしも思ひとどまりて、意恨うらみのんで過ごせしが。大王、やつがれ不憫ふびん思召おぼしめさば、わがためにあだを返してたべ。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)