代金しろきん)” の例文
それでいのだ、わたしに後の心配はすこしもない。とお雪は叫びたかった。四万円の代金しろきんで姉さんは加藤楼の女将おかみになっている。
モルガンお雪 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
うたで置くべきやと一心をこめて君太夫にむか其許樣そのもとさまには常々吉原へ入込いりこみ給へば私しの身を遊女になさ代金しろきんにて母の身の上を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「これこそあ、耕平の野郎の、代金しろきんだぞ。無暗なことにあつかわれねえぞ。この金は、金として、取って置かなくちゃ。」
(新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
昨夜亥刻よつ半(十一時)過ぎにお篠さんが、二百両の金を持って来て、お秋の代金しろきんにこれだけ受取って来たから、これで私に身を立てろと言うんです。
立派な屋敷で暮していたある老婦人が、ジャンを可愛い子と思ったので、一日あるひ、その身の代金しろきんを払って、自分の手もとに引き取った。なかなか利発な子だったので学校にあげた。
親ごころ (新字新仮名) / ギ・ド・モーパッサン(著)
これをてめえに遣るから泥坊に奪られない積りで主人のとこへ往くがい、しかしそれは尋常ただの金じゃない、たった一人の娘が身を売った代金しろきんだけれども、これを汝に遣るからと仰しゃって
文七元結 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
今もっているよりもっと多くの閑暇ができたらどうしたらよいかわからないというような人々には今の二倍もはたらいたらよいと忠告したい——かれらが自らの代金しろきんを支払い自由の証書を
取換とりかはし如何成れば姉妹二人斯る苦界に沈みしぞ父樣とゝさまには私の身の代金しろきんの爲に人手に掛り果て給ひ母樣には麹町におはするとの事成れどなどかあひには來給はぬぞ手紙を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
おとめを二百円の代金しろきんをだして、月三十円かの手当をやり、物見遊山ものみゆさんにも連れ廻り、着ものもかってあてがった——後のことは分らないが、はじめの支出を書いた日記を、錦子に開いて見せて
田沢稲船 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
はうぜんと思ひ一人の娘を新吉原江戸町一丁目玉屋山三郎方へ身の代金しろきん五十兩にて年季ねんきつとめに遣はし右五十兩の中二十五兩を大橋の方へ持參仕り候處文右衛門儀武士ぶし意氣地いきぢ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)