他所たしよ)” の例文
令史れいしおほいあやしみ、すなはことばごとく、宿直とのゐひそかかへりて、他所たしよにかくれてつまうかゞふ。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
縮は越後の名産めいさんにしてあまねく世の知る処なれど、他国たこくの人は越後一国の産物さんぶつとおもふめれど、さにあらず、我住わがすむ魚沼郡うをぬまこほりぐんにかぎれる産物さんぶつ也。他所たしよいづるもあれどわづかにして、其しな魚沼には比しがたし。
たゞ他所たしよの者は渋海川しぶみがは氷見こほりみとて、花見のやうに酒肴しゆかうをたづさへきし彩筵はなござ毛氈まうせんなどしきてこれを見る。大小いく万の氷片こほりのわれ水晶すゐしよう盤石ばんじやくのごときが、あゐのやうなる浪にたゞよひながるゝは目ざましき荘観みものなり。