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たしよ
令史、
大に
怪み、
即ち
其の
詞の
如く、
宿直の
夜潛に
歸りて、
他所にかくれて
妻を
伺ふ。
縮は越後の
名産にして
普く世の知る処なれど、
他国の人は越後一国の
産物とおもふめれど、さにあらず、
我住魚沼郡一
郡にかぎれる
産物也。
他所に
出るもあれど
僅にして、其
品魚沼には比しがたし。
たゞ
他所の者は
渋海川の
氷見とて、花見のやうに
酒肴をたづさへ
岸に
彩筵毛氈などしきてこれを見る。大小
幾万の
氷片水晶の
盤石のごときが、
藍のやうなる浪に
漂ひながるゝは目ざましき
荘観なり。