村方の関係としては、当時の戸籍とも言うべき宗門人別から、検地、年貢、送籍、縁組、離縁、訴訟の手続きまでを記しつけたもの。
「しかし文華堂へ勤めるとなると」と木内は湯呑茶碗で焼酎を啜りながら云った、「人別だけははっきりしなくちゃあならねえからな」
前金の受け取りを取っても相手は山猿同様……まるで治外法権のような山村のことで、当の相手が人別にもないような男である。
だしぬけに押し掛けて来て、よその家の人別を調べるから、お前さんにも変な顔をされるのだ。実はわたしはお上の御用を
「浪士組」が関東から上洛してきたとき、松平肥後守の手文庫のなかには、べつに藤本鉄石以下の「京都方浪士人別」というのが秘められていた。