こもご)” の例文
智勇こもごくるしむの極所に際し、かえって暴虎ぼうこ馮河ひょうが、死して悔なき破壊的作用のために、天荒を破りて革新の明光を捧げ来るものあり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
げに露西亜ロシアの農民はあはれなる生活を送るもの多く、酸苦こもごもせまれどもこらへ、能く忍ぶは、神の最後のまつりごとに希望を置くと見えたり。
トルストイ伯 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
而して聞く者之が為めに悲喜こもごも至る。吾れ其然る所以を知らずして、終に彼れの為に化せらる。詩人は固より哲学を有す、彼れは自己の宇宙観と人生観とを有す。
詩人論 (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
『燕石雑志』に、日向の大蚯蚓みみず空中を飛び行くとあるは、これを擬倣したのか。とにかく蜥蜴が地中に棲んで蚯蚓みみず様に堕落したのだが、諸色こもごも横条を成し、すこぶる奇麗なもある。
ソノ間累世二主、遷館三所、連綿トシテ絶エズ。カツテ虚歳ナシ。余モマタコノ会ニ参スルコト二十有七度、世ハことナリ事ハ異ル。悲喜こもごモ集ル。すなわチ筆ヲイテ詠ヲナス。辞ノ至ル所ヲ知ラザル也。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
『予章記』に、呉猛が殺せし大蛇は、たけ十余丈で道を過ぐる者を、気で吸い取り呑んだので、行旅たびびと断絶した。『博物志』に、天門山に大巌壁あり、直上数千じん、草木こもごも連なり雲霧掩蔽えんぺいす。
曰く、和蘭オランダ国王は、軍艦をして、開国和親の忠告書をもたらしたる特命使節を派遣すべし、曰く、英仏こもごも琉球に迫り、交易を促がす。れかこの際において、身をぬきんで、その措置に任ずるものぞ。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
左右の肋骨をこもごも引き寄せて体を代る代る左右に曲げ、その後部をすすめる中、その一部(第三図)また自ら或る凸起にり掛かると同時に、体の前部今まで曲りおったのが真直ぐに伸びて