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五紋
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いつつもん
太神楽が、黒木綿の
五紋の着流しで鳥打帽を
被った男と、
久留米絣にセルの
袴を裾長に
穿流した男と、頬杖を突合って休んだのを見ました。
鬘ならではと見ゆるまでに
結做したる
円髷の漆の如きに、
珊瑚の
六分玉の
後挿を点じたれば、更に
白襟の
冷豔物の
類ふべき無く、
貴族鼠の
縐高縮緬の
五紋なる
単衣を
曳きて
次のは、
剃りたての頭の青々とした綺麗な出家。
細面の色の白いのが、鼠の
法衣下の上へ、黒縮緬の
五紋、——お千さんのだ、
振の
紅い——羽織を着ていた。
濃からぬ
口髭を
生して、
小からぬ鼻に
金縁の
目鏡を
挾み、
五紋の
黒塩瀬の羽織に
華紋織の
小袖を
裾長に
着做したるが、六寸の
七糸帯に
金鏈子を垂れつつ、
大様に
面を挙げて座中を
眴したる
容は
第一、
五紋の羽織で、お
袴で、
革鞄をぶら下げて
出稽古に
歩行くなんぞ、いい図じゃあないよ。いつかもね。