丹後たんご)” の例文
かゝはりのないことだが、念の爲に申上げよう、——湯島切通しに屋敷を持つてゐられる、三千五百石の直參、望月丹後たんごといふじんぢや。
忠直卿は、老家老の小山丹後たんごと碁を囲んでいた。老人と忠直卿とは、相碁であった。が、二、三年来、老人はだんだん負け越すことが多かった。
忠直卿行状記 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
ちょうど長州藩からは密使を送って来て、若狭わかさ丹後たんごを経て石見いわみの国に出、長州に来ることを勧めてよこした時だ。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
この日を作始めという例は信濃しなのにも石見いわみにもある。丹後たんご因幡いなばで春亥の子というのも、この二月始めの亥の日であって、共に田畠に出て耕作のまねをした。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
蕪村は総常両毛りょうもう奥羽など遊歴せしかども紀行なるものを作らず。またその地に関する俳句も多からず。西帰さいきの後丹後たんごにをること三年、よって谷口氏を改めて与謝よさとす。
俳人蕪村 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
山陰道の東端は丹波たんば丹後たんご但馬たじまであります。これらの国々の名は色々の言葉で思い出されます。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
むかし、むかし、丹後たんごの国みずうらに、浦島太郎というりょうしがありました。
浦島太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
いまのところ、女囚だけの刑務所は、この栃木のと丹後たんごの宮津にあるのが有名だそうです。栃木の刑務所には、諸所から来るらしく、女囚の表情や骨格にも、様々な地方色がうかがえるのでした。
この故に弘前の人は他郷の人を排斥する。就中なかんずく丹後たんごの人と南部の人とを嫌う。なぜ丹後の人を嫌うかというに、岩木山の神は古伝説の安寿姫あんじゅひめで、おのれを虐使した山椒大夫さんしょうたゆうの郷人を嫌うのだそうである。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
「たずねることがある、丹後たんごをよんでまいれ、西尾にしお丹後だ」
日本婦道記:箭竹 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
丹後たんごを打ッたぞ」
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
山陰道さんいんどう丹波たんば丹後たんご但馬たじま因幡いなば伯耆ほうき出雲いずも石見いわみの七ヵ国でこれに隠岐おきの島が加わります。県は主として鳥取県と島根県とでありますが、東寄りの国々は京都府や兵庫県の一部を占めます。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
丹波たんば丹後たんご
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)