三毛猫みけねこ)” の例文
お小夜の家はもとのまゝですが、たつた一人の下女のお米は調べが濟むまで里へ歸すこともならず三毛猫みけねこと一緒に淋しく暮して居ります。
こう考えこんでとぼとぼ歩いているところへであったのは、小さな三毛猫みけねこです。三毛猫は、いかにもわけへだてなく
壁際かべぎわ籐椅子とういすった房子ふさこは、膝の三毛猫みけねこをさすりながら、その窓の外の夾竹桃へ、物憂ものうそうな視線を遊ばせていた。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
小猫は、やがてまる/\とふとつて、毛なみのうつくしい三毛猫みけねこになりました。家中のものは誰呼ぶとなく「三毛、三毛」と名をつけて可愛がりました。
身代り (新字旧仮名) / 土田耕平(著)
「ホーシュ君か。」ゴーシュはねぼけたようにさけびました。ところがすうと扉をしてはいって来たのはいままで五六ぺん見たことのある大きな三毛猫みけねこでした。
セロ弾きのゴーシュ (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
ねこほうも、「そらた。」というなり、三毛猫みけねこ虎猫とらねこ黒猫くろねこ白猫しろねこ、ぶちねこ、きじねこ、どろぼうねこやのらねこまで、これも一門いちもんのこらずきばをとぎそろえてかっていきました。
猫の草紙 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
あくるあさいのちみづまうとすると、釣瓶つるべ一杯いつぱいきたなけものいてあがる……三毛猫みけねこ死骸しがい投込なげこんであつた。そのことわられたものの口惜くやしまぎれの惡戲いたづらだらうとふのである。——あさことで。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
お小夜の家はもとのままですが、たった一人の下女のお米は調べが済むまで里へ帰すこともならず三毛猫みけねこと一緒に淋しく暮しております。