一撃ひとうち)” の例文
彼等は鐡鉤かぎをおろせり、その一者ひとりほか一者ひとりにいふ、汝わが彼のしりに觸るゝをねがふや、彼等答へて、然り一撃ひとうち彼にあつべしといふ
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
始て怖気付おじけづいてげようとするところを、誰家どこのか小男、平生つねなら持合せの黒い拳固げんこ一撃ひとうちでツイらちが明きそうな小男が飛で来て、銃劒かざして胸板へグサと。
明けの別れに夢をのせ行く車のさびしさよ、帽子まぶかに人目をいと方様かたさまもあり、手拭てぬぐひとつてほうかふり、彼女あれが別れに名残の一撃ひとうち、いたさ身にしみて思ひ出すほど嬉しく
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
タッタ一撃ひとうちっ付けるつもりだったのが、案外な抵抗を喰ったもんだから思わず汗が出たんだね。そいつを拭こうとして、うっかりポケットからインテリの証拠を引っぱり出して拭いちゃったんだ。
オンチ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「おとなしくしているんだぞ。抵抗すると、一撃ひとうちだ」
豆潜水艇の行方 (新字新仮名) / 海野十三(著)
あはれ始めの一撃ひとうちにてくびすを擧げし彼等の姿よ、二撃ふたうち三撃みうちを待つ者はげにひとりだにあらざりき 三七—三九
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
まわればまわられるものを、恐しさに度を失って、刺々とげとげの枝の中へ片足踏込ふんごんあせって藻掻もがいているところを、ヤッと一撃ひとうちに銃を叩落して、やたらづきに銃劔をグサと突刺つッさすと