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もうこたう
「
土産にこんなものを
持つて
來ました。
蒙古刀ださうです」と
云ひながら、すぐ
拔いて
見せた。
後に
差してあつた
象牙の
樣な
棒も二
本拔いて
見せた。
「えゝ
些と
物數奇過ぎますね、
蒙古刀は」と
答へた。「
所が
弟の
野郎そんな
玩具を
持つて
來ては、
兄貴を
籠絡する
積だから
困りものぢやありませんか」
書齋の
柱には
例の
如く
錦の
袋に
入れた
蒙古刀が
振ら
下がつてゐた。
花活には
何處で
咲いたか、もう
黄色い
菜の
花が
插してあつた。
宗助は
床柱の
中途を
華やかに
彩どる
袋に
眼を
着けて