“まび”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:マビ
語句割合
魔火27.3%
間引27.3%
魔日27.3%
9.1%
間曳9.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
まったく、吉水でも、その法敵でも、夢想もしていなかった社会の裏面から、それは燃えひろがった魔火まびであった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
高原を拓いて、間引まびいた疎らな木原こはらの上には、もう沢山の羽虫が出て、のぼつたりさがつたりして居る。たつた一羽の鶯が、よほど前から一処を移らずに、鳴き続けてゐるのだ。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
そして暫くすると、アア、今日は何という魔日まびだろう。又しても、湯殿とおぼしき方角から、けたたましい悲鳴が聞えて来た。今度はゴリラ湯殿に待伏せしていたのかしら。
恐怖王 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
絶間無き騒動のうち狼藉ろうぜきとしてたはむれ遊ぶ為体ていたらく三綱五常さんこうごじよう糸瓜へちまの皮と地にまびれて、ただこれ修羅道しゆらどう打覆ぶつくりかへしたるばかりなり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
宮は見るより驚くいとまもあらず、諸共もろともに砂にまびれて掻抱かきいだけば、閉ぢたるまなこより乱落はふりおつる涙に浸れる灰色のほほを、月の光は悲しげに彷徨さまよひて、迫れる息はすさましく波打つ胸の響を伝ふ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「おらの家じゃ、貧乏のくせに子供ばかり出来やがって、食わせることができねえから、こんど出来たら間曳まびいちまうと言ってたよ」
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
食わせられないがために、生かしては置けないということ、そういう場合には間曳まびいてしまうが、むしろ慈悲だという考えは、どうしてもお松に同意の余地を与えないものでありました。
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)