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ほんかん
本艦は
一令の
下に
推進螺旋波を
蹴つて
進航を
始めた。
規律正しき
軍艦の
甲板、かゝる
活劇の
間でも
决して
其態度を
亂す
樣な
事はない。
『えい、
殘念だ/\、
此樣な
時、
本艦の
水兵が
羨ましい。』と
叫んだまゝ、
空拳を
振つて
本艦々頭に
仁王立、
轟大尉は
虎髯逆立ち
眦裂けて
軍艦日の
出!
軍艦日の
出! と
私は
何故ともなく二
度三
度口の
中で
繰返す
内に、
端艇はだん/\と
本艦に
近くなる。
而して
枝柯甚だ盛んにして
本幹却って弱きの
勢を致せるに近しというべし。