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ほくこくぞら
岐阜では
未だ
蒼空が
見えたけれども、
後は
名にし
負ふ
北国空、
米原、
長浜は
薄曇、
幽に
日が
射して、
寒さが
身に
染みると
思つたが、
柳ヶ
瀬では
雨、
汽車の
窓が
暗くなるに
従ふて
一の
谷、
二の
谷、
三の
谷、
四の
谷かけて、
山々峰々縱横に、
荒れに
荒るゝが
手に
取るやう、
大波の
寄せては
返すに
齊しく、
此の
一夜に
北國空にあらゆる
雪を、
震ひ
落すこと、
凄まじい。