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ひつう
大伴ノ
御行、粗末な
狩猟の
装束で、左手より登場。中年男。
荘重な歩みと、
悲痛な表情をとり
繕っているが、時として彼のまなざしは
狡猾な輝きを
露呈する。………
あらゆる
醜状を
世間にさらした
生きがいなき
不幸な母と思いつめると、ありし世の
狂母の
惨状やわが
身の
過去の
悲痛やが、いちいち
記憶から
呼び起こされるのである。
烈しい
西風が
目に
見えぬ
大きな
塊をごうつと
打ちつけては
又ごうつと
打ちつけて
皆痩こけた
落葉木の
林を一
日苛め
通した。
木の
枝は
時々ひう/\と
悲痛の
響を
立てゝ
泣いた。