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ねんまへ
とまれ、十
年前の
秋の一
夜、
乳色の
夜靄立ち
罩めた
上海のあの
茶館の
窓際で
聞いた
麻雀牌の
好ましい
音は
今も
僕の
胸底に
懷しい
支那風を
思ひ
出させずにはおかない。
今から二三
年前のこと、
其時は、
船の
出懸けから
暴風雨模樣でな、
風も
吹く、
雨も
降る。
敦賀の
宿で
逡巡して、
逗留した
者が七
分あつて、
乘つたのはまあ三
分ぢやつた。
或はヴオツカを
呑んでゐる
者も
有らう、
病院の
事業は
總て二十
年前と
少しも
變らぬ。