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なんまい
大廣間の
周圍には
何枚となく
戸がありましたが、
何れも
皆閉つて
居ました。
一二
册手に
取つて
見ると、いづれも
婦人用のものであつた。
宗助は
其口繪に
出てゐる
女の
寫眞を、
何枚も
繰り
返して
眺めた。
夫から「
成効」と
云ふ
雜誌を
取り
上げた。
何時もと
違つて、
乘客の
非常に
少ない
時間に
乘り
合はせたので、
宗助は
周圍の
刺戟に
氣を
使ふ
必要が
殆んどなかつた。それで
自由に
頭の
中へ
現はれる
畫を
何枚となく
眺めた。