“ならく”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
奈落97.2%
那落2.8%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
そして、しまいには、うすあおい、黄昏たそがれそらにはかなくえて、またひくきしなみおとにさらわれて、くら奈落ならくへとしずんでゆくのでした。
海のかなた (新字新仮名) / 小川未明(著)
舞台下の奈落ならくでは、一匹の野獣が麻酔剤に気を失った美しい女優を小脇こわきにかかえて、穴蔵の暗闇くらやみの世界を、気ちがいのように走っていた。
人間豹 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
一歩渦巻にまき込まれてしまえば、那落ならくまでは一息。その途中に思索や反省や低徊ていかいのひまはない。臆病おくびょうな悟浄よ。
悟浄出世 (新字新仮名) / 中島敦(著)
搖上ゆりあ搖下ゆりおろされ今にも逆卷さかまくなみに引れ那落ならくしづまん計りなれば八かんねつ地獄ぢごくの樣もかくやとばかりおそろしなんどもおろかなり看々みる/\山の如き大浪おほなみは天神丸の胴腹どうはらへ打付たればあはれやさしも堅固けんごしつらへし天神丸も忽地たちまち巖石がんせきに打付られ微塵みぢんなつくだけ失たり氣早きばやき吉兵衞は此時早くも身構みがまへして所持の品は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)