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那落
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ならく
一歩渦巻にまき込まれてしまえば、
那落までは一息。その途中に思索や反省や
低徊のひまはない。
臆病な悟浄よ。
搖上げ
搖下され今にも
逆卷浪に引れ
那落に
沈まん計りなれば八
寒八
熱の
地獄の樣も
斯やとばかり
怖ろしなんども
愚かなり
看々山の如き
大浪は天神丸の
胴腹へ打付たれば
哀やさしも
堅固に
營らへし天神丸も
忽地巖石に打付られ
微塵に
成て
碎け失たり
氣早き吉兵衞は此時早くも
身構へして所持の品は