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ずゐしよ
あの、
時代のついた
大建ものの
隨處に
巣つたのが、
火のために
散つたか、
或は
火を
避けて
界隈へ
逃げたのであらう。
目的の
海岸——
某地に
着くと、
海を
三方——
見晴して、
旅館の
背後に
山がある。
上に
庚申のほこらがあると
聞く。……
町並、また
漁村の
屋根を、
隨處に
包んだ
波状の
樹立のたゝずまひ。
……
寂しいにつけ、
陰氣につけ、
隨所停車場の
燈は、
夜汽車の
窓の、
月でも
花でもあるものを——
心あての
川崎、
神奈川あたりさへ、
一寸の
間だけ、
汽車も
留つたやうに
思ふまでで