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すゝたけ
掛け
宰領二人づつ
跡より
麻上下にて
股立取たる
侍ひ一人是は
御長持預りの役なり
續いて
金御紋の
先箱二ツ
黒羽織の
徒士八人
煤竹羅紗の
袋に白く
葵の御紋を
切貫し
打物を
勘次の
家を
包んだ
火は
屋根裏の
煤竹を一
時に
爆破させて
小銃の
如き
響を
立てた。
其の
響は
近所の
耳を
驚かした。
其の
人々が
驅けつけた
時は
棟はどさりと
落ちて、
疾風の
力を
凌いで
空中遙に
焔を
揚げた。