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しやりん
斯くする事數回に
及べば、各の紐夫々に延びて、全体の形、
恰も
車輪の如くに
成りて勢好く廻轉す。
馳せ
出す
車一散、さりながら
降り
積る
雪車輪にねばりてか
車上の
動搖する
割に
合せて
道のはかは
行かず
萬世橋に
來し
頃には
鐵道馬車の
喇叭の
聲はやく
絶えて
京屋が
時計の
十時を
報ずる
響空に
高し
けれども、
音も
響もない
車輪が美くしく
動いて、意識に乏しい自分を、半睡の状態で
宙に
運んで行く有様が愉快であつた。
青山の
家へ着く時分には、
起きた頃とは
違つて、
気色が余程晴々して
来た。