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しはす
お前が
私を拾つて下すつたのは、今から二十年前の
師走の廿五日、雪のチラつく
夕間暮と
能くお言ひだが、たツた五年の昔、三月十五日の花の夜
師走の
算段に
驅け
𢌞つて
五味坂で
投出された、
此の
時は、
懷中げつそりと
寒うして、
心、
虚なるが
故に、
路端の
石に
打撞かつて
足の
指に
怪我をした。
いふまでもなく
極月かけて
三月彼岸の
雪どけまでは、
毎年こんな
中に
起伏するから、
雪を
驚くやうな
者は
忘れても
無い
土地柄ながら、
今年は
意外に
早い
上に、
今時恁くまで
積るべしとは