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ごやうす
人傳に
聞きましてお
怒りにふれるとは
知るも
御樣子が
伺ひたさに
出にくい
所を
繕つて
漸うの
思ひで
參りましたお
父樣にもお
執成をとしほ/\として
言出づるを
なし餘り久々
御疎遠なれば
御機嫌も
伺ひ度又此方の
御樣子如何と存じ母を同道して
出馬喰町武藏屋清兵衞方に
罷在候と申けるに利兵衞の心は
疾より
變り
持參金のある
聟を
有難うございます……お
内儀さんえ、
間違つたら
御免なすつて下さいまし、
人違ひと
云ふことはございますから、あなたはお言葉の
御様子では
此の
鰍沢のお
生れではないやうでございますな。