“こうかつ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
狡猾84.5%
広闊5.3%
広濶4.9%
狡黠1.9%
狡滑1.0%
宏濶0.5%
洪适0.5%
浩濶0.5%
高濶0.5%
黄褐0.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
そして、胸の中で、自分は安次を引取ることに異議を立てるのではなく、秋三の狡猾こうかつさに立腹しているのだと理窟も一度立ててみた。
南北 (新字新仮名) / 横光利一(著)
平野に進出した者はこれを広闊こうかつなる水面にまで適用し、止まって山地の生活を持続した者もまたややこれを奥の入りに持ち運んだためであろう。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
非常に広濶こうかつな、偏執のない心が、あらゆる対象へ差別のない愛を注ぎながら、静かに、なごやかに、それらを見まもっている、——そういう印象を与える。
享楽人 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
捷智しょうち部においては「霊変」を説き、語智部においては「善言」を説き、兵智部においては「詭道」を説き、閏智じゅんち部においては「雄略」を説き、雑智部においては「狡黠こうかつ」を説いた。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
前髪を二つに分けた下から、美しい瞳が光っている。男らしさのうちに女らしさがあり、凜々りりしさのうちに狡滑こうかつらしさがあった。
三浦右衛門の最後 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
かたがた、天下はなはだ多事の折でもあり、陛下のみならず公卿たちも、まれには、大気に触れ、心身を鍛え、宏濶こうかつな気を養うことが刻下の急務かと考えられますが
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
父の洪皓こうこうをはじめとして、せがれの洪适こうかつ洪遵こうしゅん、洪邁の一家兄弟、揃いも揃って名臣であり、忠臣であり、学者であること、実に一種の異彩を放っていると申してもよろしいくらいでありまして
鳴門舞なるとまい——しばらく殿の朗々たる謡声うたいごえも聞きませぬ。詩吟、舞踊なども、たまには浩濶こうかつな気を養ってよろしいものと存じます」
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
はるかに(高濶こうかつなる碧瑠璃へきるりの天井を、髪つややかに打仰ぐ)姿を映します。
海神別荘 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
一羽、ふり仰ぐ一大岩壁の上に黄褐こうかつの猛鳥、英気颯爽さっそうとしてとまって、天の北方をにらんでいる。
木曾川 (新字新仮名) / 北原白秋(著)