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けんくわん
ところが
權官に某といふ
無法者が居て、雲飛の石のことを
聞き、
是非に百兩で
買ひたいものだと
申込んだ。
雲飛の
妻は
早速子と
相談し石を
某權官に
獻じたところ、雲飛は
間もなく
獄を出された。
そこで
彼の
權官は
首尾よく
天下の
名石を
奪ひ
得てこれを
案頭に
置て
日々眺めて居たけれども、
噂に
聞きし
靈妙の
働は少しも見せず、雲の
湧などいふ
不思議を
示さないので、
何時しか石のことは
打忘れ
観湖楼の
羽織袴は、
特に
私たちの
為ではない、
折から
地方の
顕官の
巡遊があつた、その
送迎の
次手である。